想い花をキミに
やっぱり悔しくなって、少しムッとなった私に彼が「なんだよ。」と目を丸くしながらこちらを見る。
けど、「別に。」とだけ返してシャワーを浴びに行った。

絶対にモテたんだろうな。だって隼太だもん。
あの優しさとカッコ良さだったら、女ならほっとくはずがないと勝手に色々想像してしまう。

はあ、いつからこんなに隼太が好きになったんだろう。
そのせいで心が狭くなったみたい。
でもやっぱりホストは嫌だ。ちょっとホスト姿も見てみたい気もするけど。

シャワーからあがると隼太がドライヤーを用意して待っていた。
「おいで。」と手招きするから、ちょっとツンとしながらもおとなしく前に座るとそのまま私の髪を乾かしてくれた。

「亜砂果の髪って細いんだな。」

片手で私の髪をすきながら彼が言うから、

「そうかもしれない。将来早くなくなっちゃうかも。」

「まあ、その時はその時だな。」

隼太は私の機嫌を取ろうとしているのかもしれない。
別に怒ることではないんだろうし、昔のことだからどうしようもないんだけど、恋心って理屈じゃ片づけられないくらい複雑なのよね。

そんなことを思いながらも、頭をなでられているのが気持ちよくってつい眠気がこみ上げてくる。その時、

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