想い花をキミに
「これ。」

と私の前に差し出されたのはかわいくラッピングされた小さな箱と紙袋。
この短時間で私のご機嫌取りのためにこんなものまで用意したの?なんて思ったけど、

「初バイト祝い、なんちゃって。」

と照れくさそうに笑う彼を見て、既に用意してくれていたことを悟って一気にテンションが上がった。

「いいの?ありがとう!今開けてもいい?」

「どーぞ。」

中に入っていたのは可愛いジュエリーがついたヘアゴムと鍵だった。

「バイトで髪の毛結ぶこともあるかなって思って、ちょうどいいのあったから買ってみた。あとそれは俺んちの合鍵。」

思いがけないプレゼントに顔がほころぶ。

「すっごく可愛い。大切に使うね。ありがとう隼太。」
光輝くジュエリーがまぶしいくらいで、ついつい見とれてしまう。
それに合鍵って。もうそれっていつでもここに来ていいってことだよね。
自由に家に出入りすることを許すほど、特別に想ってくれてるのかな。
どうしよう、嬉しくてしょうがない。

「ん。お前の居場所はここにあるから、いつでも来ていいからな。」
「はやたぁ……」

私が思っていたことと同じことを言われたから、またまた嬉しくなる。
隼太は私にたくさんのものを与えてくれた。
友達もバイトもプレゼントも、そして居場所も。

「何泣きそうになってんだよ。」

そんな私を見ていじわるっぽく彼が言う。

「泣いてないもん。」

「強がり。」

いつものやり取り。
今日も私は隼太の腕の中で幸せいっぱいに眠ることができそうな気がする。






< 44 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop