想い花をキミに
その後もいくつかお店を周りながら、隼太は私に似合う洋服とか靴とかをたくさん買ってくれた。

「もういいよ。」って言っても、

「亜砂果に似合いそうだからつい。」

と言って隼太が私を甘やかすから、帰る頃には両手いっぱいの紙袋を持ち帰ることになった。

家に着いたのは夕日が沈み切る少し前──

「いっぱい買ったね。」

「そうだな」

ほとんど買ってもらっちゃったけど、隼太は大丈夫だったのかな。
買った物を整理しながら、あのコップを取り出しテーブルの上に並べてみる。
何度見ても可愛いし、これにして正解だった。
早く使いたいな。

「そんなに気に入ったわけ?」

コップを並べてニヤニヤしている私を見て隼太が近づいてくる。

「うん。何度見ても可愛いんだもん。早く使いたいな。」

「このコップ見てるとあの初雪の日のことを思い出すな。」

「私たちが会った日?」

「そう。おバカな誰かさんが雪の中で眠り姫になってた日のこと。」

といじわるっぽく言うから、「もう。」って横目で彼を睨んだ。

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