想い花をキミに
「冗談だよ。」と笑いながら機嫌を取るように私の髪をなでる彼を見てふと、

「ねえ、そういえば聞いたことなかったけど、どうしてあの日私を見つけたの?」

疑問に思ったことを聞いてみた。
あの日はクリスマスイブだったし、一人で過ごすにはちょっと寂しいよね。

「最初に亜砂果を見つけた日のこと?」

「うん。」

「あー、あれはほんとに偶然。」と少し考えた後に彼は答えた。

たまたま出かける用意があった隼太はその帰り道にふと公園に寄ってみようって思ったらしい。

「雪も降ってるし何かするわけでもないのに、なぜかその道を通ろうって思ったんだよな。今思えば、亜砂果が俺を呼んだのかな。」

「私にそんな力なんてないよ。」

「はは。だよな。」

二人でふふっと笑っていると、隼太の顔が急に真剣になって、「でも二回目に見つけた時は違うよ。あの日俺は亜砂果を待ってたんだ。」と続けた。

クリスマスイブの日はたしか初雪が降った日だったよね。
1日で雪はあっという間に降り積もって、二度目に隼太が私を見つけてくれた日にはあたり一面雪景色だったもんね。

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