想い花をキミに

あたしは薄く開いていた目をゆっくり閉じた。

その中で思い出すのは今までできなかった後悔のことだけ。

もっと友達とも遊びたかったな。
お金がないからいつも適当なことを言ってごまかしてきたけど、本当は自由に遊びにいける友達がすごくうらやましかった。

部活にだって入ってみたかった。思いっきり走って汗かいてみんなで笑って──
そんな青春時代を思い描いていたの。

それに恋だって。

好きな人がいるってどんな気持ちなんだろう。
一緒に下校したりイチャイチャしたり、そういうのを夢見てた。

この人生じゃなければ、両親がちゃんと生きていてくれたら、あの人なんかに引き取られていなければ、全部叶えられたのかな。

でももう叶わない。

叶わないとしても、今の生活が続くよりはずっとマシだよね。
もし、本当にもし、またこの目を開く時が来たならば、私は幸せになりたい。

神様、どうか次に生まれかわる時は優しいお父さんとお母さんを私に下さい。

幸せな人生を下さい。どうか。

私はそう願い、少しずつ薄れていく意識を感じ取りながら深い眠りへと落ちて行った。
< 5 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop