想い花をキミに
話が勝手に大きくなっていくことに焦りを感じる。
それからも白熱した女子トークはとどまることを知らなくて、気が付くと午後を知らせる予鈴が鳴り響いていた。
そのおかげで助かったと胸をなでおろしながら、自分の席に戻っていく彼女たちの背中を見つめる。

付き合ってること、隠すつもりはないんだけどな。
でも自分から言うのも恥ずかしいんだもん。


その放課後、

「亜砂果ももっと派手にしてみたら?」

友達の何気ない一言で、私は皆に好き放題髪の毛やら顔やらをいじられている。

戸惑いながらも、どんな感じになるんだろうという期待がある。

「はい、でーきた!かわい~~」

ドキドキしながら手鏡をのぞき込むと、そこに映っていたには別人の自分。

ゆるく巻かれた毛先と、いつもよりアイライン強めでどこか色っぽい目元。
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