想い花をキミに
「これならどんな男でも亜砂果に惚れると思うなー!」

「うんうん。」

どうだろう。変じゃないかな。

「あ、なんならこの後私の知り合いの男子に会ってみる?」

なんてことまで言い出して携帯を取り出したから、私はその友達の手を必死に抑えて、「やだやだやだ!無理だから!」って慌てて止めたら「せっかくかわいいのに。じゃあまた今度ね!」って納得してくれた。
けどまた今度があるのかって考えると、この時に素直に打ち明けてしまえば良かったのかもしれない。

友達に手を振って教室を後にした私は、不安な気持ちを抱えながらも隼太の元へと向かった。
今日は駅前で待ち合わせているから、家に居る時と違ってドキドキする。たまにはこうやって待ち合わせをしてみるのもいいね。
隼太に早くこの姿を見てほしい気持ちもあるけど恥ずかしい気持ちもある。
驚くかな。

駅に着くと彼は既に待っていた。
携帯の画面を見ながら何かをやっている彼に近づき、「おまたせ。」と後ろから声をかける。

どんな反応するかな。胸をドキドキさせながら彼が顔を上げるのを待っていると──、

「いや、全然待ってな──」顔を上げた彼が私を見て一瞬言葉を失う。

< 55 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop