想い花をキミに
「だからね、隼太は強い子のようでどこか寂しがりやな一面もあるの。ううん、本当は強くなんかないのよ。それを上手に隠しているだけ。だからどうかあの子のそばにいて、支えてあげてね。」

そう言うとおばさんはすっかり冷めきった紅茶をすすりながら、またニッコリとほほ笑んだ。

ずっと強いと思っていた彼の意外な一面。

私は自分の都合だけで隼太の存在を否定するようなことを言っちゃたけど、隼太は私が思っている以上に傷ついたんだ。

寂しいことを寂しいって素直に言えなかったんだもんね。
謝らなきゃ。
隼太に会ってちゃんと謝らなきゃ。

「あの、私行かなきゃ行けないところがあるんです。」

一刻も早く隼太に会いたい私は、勢いよく立ち上がった。

それを見たおばさんは、何かを悟ったのか、「隼太ね、あなたがとても大切なんだって言ってたわ。怪我をしたあなたを運んできた時、必死にそう言ってたから。大丈夫、あの子はきっと亜砂果ちゃんを幸せにするわ。だからどんなことがあっても、隼太を信じてあげてね。」と言った。

「はい!」

大きく頷いた後、私は走って彼のもとへ向かった。

早く会いたい、その気持ちだけで全力で。










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