想い花をキミに

目を覚ますと心配そうに私を見つめる彼の瞳があった。

「亜砂果！ごめん俺……」

瞳の奥に罪悪感の色を浮かべながら私を抱きしめ謝る彼。
その表情は今にも泣きだしそうに見えて、戻ったばかりの意識の中、私も彼を抱きしめ返した。
そうしながら、罪悪感に押しつぶされそうになっている彼を慰めるように胸の内を吐き出した。

「可愛くなろうって、頑張って綺麗になろうってしてるのは全部隼太のためなんだよ？確かに彼氏はいないって嘘ついちゃったけど、あれはどうしようもなかったっていうか、恥ずかしくて言い出せなかったの。ごめんね。私がおしゃれするのはいつも隼太に可愛いって思ってもらいたいからだから……隼太にはそういう女心、ちゃんと分かってほしいな」


一気に気持ちを言葉に乗せて吐き出すと、ふいに隼太の頭がコツンと私の肩に乗った。

そして、「お前こそ俺の気持ち分かってくれよ」と耳元で弱々しく低い声が響いた。

「亜砂果だって何にも分かってないだろうが。」

そう続ける彼の声は、今までで一番低くて弱い。