想い花をキミに
図書館からの帰り道ではあの二人の姿が頭から離れなかった。

「友達だよ。そうだよ絶対。だって隼太には私がいるもん。」

それでもここ最近会えていなかった寂しさが私の不安を煽る。
隼太に限ってそんなこと絶対ない。浮気なんてそんなこと。
疑っちゃいけないよね。信じなきゃ。
大丈夫、大丈夫、大丈夫。

だけどそんなの一時的な取り繕いにしかならなくて、気づいたら隼太に電話をかけていた私。
スリーコール目で電話に出た彼に対し、

「あ!隼太久しぶり!今何かやってたかな……?」

思わず声が上ずり語尾が弱くなる。

「いや、特に」

久々に聞いた彼の声はいつも通りで、

「そっかそっか!それなら良かった。」

焦っているのは私だけ。

「どうかした?」

私からかけることなんて滅多になかったから珍しそうに彼が聞いてくる。

「大したことじゃないんだけどね、明日とかって放課後会えないかなと思って。」

だけど彼から返ってきた言葉は、期待とは反対のもの。

「悪い。明日は用事があるんだ。」

「そっか!急だもんね、それなら仕方ないよ。じゃあ今度の土曜日は?」

「ごめん。土曜も無理だわ。ってかしばらく会えそうにない。ごめんな。」

え、それってどういうこと……

「え、どうして?」

彼の言葉に不安が募る。なんだか変な冷や汗まで出てきたみたい。

「今はちょっと言えないんだ。とにかくごめんな。亜砂果も友達と遊んだりしろよ!」

「じゃあおやすみ。」そう言って彼は電話を切った。
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