想い花をキミに
しばらくってどれくらい?
一か月?三か月?はたまた一年?

具体的な理由も教えてくれない彼に不安が募っていった。

電話が切れてもなお携帯を耳にあてたままの私に、プープーという虚しい機械音だけが響いていた。


「なんなの?しばらく会えないってどういうこと?なんで理由も言わないわけ?そんなにやましいことでもあるっていうの?」

翌日の昼休み、私は友達に愚痴を漏らしていた。

「なになに?例の西高の彼?」

「あさかの好きな人でしょ?しばらく会えないって言われたの?ってかそこまで進んでたんだ!」

いけない。つい不満を漏らしていたけど、皆には好きな人ってことにしてたんだった。

「うん、まあね。」

と取りあえず笑ってごまかしてみるけど、

「それは女だね。」

黙って話を聞いていた友達の一人が、自信たっぷりに言い切った。

「どうして分かるの?」

思わず身を乗り出してしまう。

「だってこんなに可愛い子が会いたいって言ってるのに断ってまでやりたいことって他にないでしょ。男は他の女に目移りするともうそこしか見えなくなるからね。」

その時、昨日の二人の姿がまた浮かんできた。
あの二人、実はそういう仲だったの?
隼太はあの人に目移りしてるの?
私以外の人を好きになっちゃったの?

一点を見つめたままボーっとなる私に、

「なーんて、そんなのは一握りの男だけであさかの好きな彼がそうだとは限らないからね。」

ってフォローしてくれた友達の声ですらもう耳には入っていなかった。
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