想い花をキミに
家に帰ってまた一人になった私は、会えない時間を潰すように図書館で借りてきた本を読み始めた。

"ねえ、あの女だれ?"

"友達だって言ってるだろ。お前が思ってるような関係ではないから。"

"嘘!だって一緒にいたじゃない。"

"それはたまたまっていうか、偶然会うことだってあるだろ"

"あなたにとっては偶然かもしれないけど、あの女は違う。私には分かるもん"

"もうやめよう、こうやって言い争うの。疲れるだけだ。"

"そうやって逃げるの?"

"俺が好きなのはお前だけだっていつも言ってるのに、なんで分からないんだよ。毎回毎回こうやって泣かれても、俺どうしたらいいか分かんないよ"

"だってしょうがないじゃない。不安になっちゃうんだもん。"

そうやって泣き崩れるヒロインを彼がぎゅっと抱きしめる。

"じゃあ不安にさせないでよ。私だけしか見ないで。"

パラパラとページをめくりながら、滅茶苦茶なヒロインだなと思った。
こんなに彼が好きだと言葉にしてくれているのに、どうして信じられないんだろう。
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