想い花をキミに

love stage10. 本命vsチャレンジャー

"負けない"と心に誓ってみたものの、具体的にどうするのかまでは考えていなかった私。

そしてあの土曜日以来、私は隼太を避けるようになっていた。
電話にも出ないしLINEも既読スルー。
通学路だって駅の方は通らないようにしてみたり。
とにかく隼太には会いたくなかった。
今会ってしまえば私は彼になんて言うか分からないから。

そうやって何日も過ぎた頃、
いつも通り駅前を避けて帰っていた時、見慣れない人の姿がそこにあった。
ううん、正確にはこの道に普段はいない人ってこと。

「隼太……」


近くの木にもたれかかるようにして彼は立っていた。
その姿は明らかに不機嫌そうで──、

「なんで避けんの?」

ゆっくりと私に近づいてくる。

「……。」

「シカト?」

「……。」

当然と言えば当然。
隼太はどうして私が避けているのか知らないんだから。
だけど隼太が悪いんだよ。
新しくできたカフェでバイトしてることも教えてくれなかったし、コソコソと他の女と仲良さそうにしてるから。

本人にコソコソしてる自覚があるかどうかは別として。

「なあ聞いてんのかよ。」

しびれを切らしたように隼太が一歩、また一歩と近づいてくる。

「おい亜砂果!」

隼太が私の肩を掴み強く揺する。
< 84 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop