想い花をキミに
「何ですか?」

この人は何がしたいんだろう。

「特になにも?」

不機嫌そうな私の顔を楽しむかのように先輩は毎日わざとらしく私の通学路に現れた。

会いたくなくてわざと道を変えても、数日後にはまた現れる。

きっと家を知ってるんだ。

逃げる私を見て面白がっている先輩をこれ以上つけあがらせないために、私は逃げるのをやめ、堂々と無視を貫くことにした。

気にしない。この人は道端に生えている雑草だ。そう雑草。
どこにでもある雑草。
そう言い聞かせて先輩の横を素通りしようとすると、

「私昨日も彼に会ったのよ。何をしたかまでは秘密だけどね」

と、わざとらしく含みを持たせた言い方をしてくる。

「会ったって、たまたまですよね?」

「あら、たまたまじゃないわ。ちゃんと約束して会ったのよ。」

一気に心の中がざわついた。

だけどそれをこの人に悟られちゃいけないと思って

「興味ないですから。」と言った。

本当はめちゃくちゃ興味あるし二人で会うなんて隼太もどうかしてる。
こんな美人に誘われたりなんかしたら、揺れない男はいないと思うから。
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