想い花をキミに
「ひゃ!」
彼は私をひょいっと持ち上げるとそのまま家の中へと入り、ソファへそっと下してくれた。
突然持ち上げられたせいで変な声でちゃったし、それに……心臓がものすごくびっくりしてる。
そんな私をよそに彼は、「ちょっと待ってて」と言い残すとどこかへ消えていってしまった。
再び戻ってきたその手には、桶にいれた温かいお湯とタオルがあって
「ちょっとしみるかもしれないけど我慢しろよ。」
そう言ってお湯の中に私の両足を浸すと、そのまま洗い出した。
「え、いいよ。自分でできるよ。」
私は慌てて自分でやろうと手を伸ばしかけたけど、「いいから。」と制止されてしまい、黙ってゆだねるしかなかった。
足先から感じるお湯の温かさに気持ちも少しずつ落ち着いてきて、私は改めて彼の顔をまじまじと見つめた。
さっきは暗くてよく見えなかったけど、くっきりとした切れ長の二重が印象的で、色素薄めの茶色い髪をした男の子だった。
初めて会ったはずなのに、なんとなく懐かしいと感じてしまうような、そんな印象。