想い花をキミに
隼太と一緒に暮らし始めて分かったこと。

それは、隼太と時々連絡がつかなくなることがあるってこと。
前々からこういうことがあったし、今更知ったことでもない。

別に私に黙ってどこで何をしようが隼太の勝手だけど、一緒に暮らしていて突然帰ってこなくなるのはちょっと不安になるよね。

それに明け方近くに帰って来るとなんとなく隼太はいつも不機嫌で、何も話してくれないからもっと心配になるけど、前に「亜砂果にはちゃんとなんでも話す」って言ってくれたから彼が自分から話してくれるまでは、その言葉を信じて待つことにしたの。私も少しは成長したでしょ。

仲のいいカップルにだって話したくない事はあるはず。
今はまだ話したい時期じゃない、それだけのこと。


玄関の鍵を開ける音で目が覚める。
そんな音で起きちゃうくらいだから私はそんなに深く眠っていたわけではなさそう。
最近は隼太のせいで眠りが浅くなっちゃって困ってるんだから。

「隼太おかえりー」

寝ぼけた感じの声を出すと、

「ごめんな。起こしちまった。」

と隼太が私の頭を撫でてくれる。

< 98 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop