親友のカラダ
優しく耳に手を当てて、あたしは涙を流した


違う…

ありがとう。麗央。

でも、苦しいよ麗央


聞きたくないよ。ルキの音も、客の声援も…

あたしが騙してるみたいなんだもん。


剣とつきあわなければよかった
ルキと出会わなければ良かった


麗央…


『麗央…ここん所が痛い…』

あたしは胸をトントンと指で弾いた
痛む心を


麗央は、優しく悲しい顔をして

優しく優しく


あたしを抱きしめた。



『…誰もみてねーから……いっぱい針吐いて、思いっきりなけばいーよ』


あたしの涙腺は操作不能になって、思い切り開いた水道の蛇口とあたしの体が繋がってるみたいに、涙が流れたんだ


みんなへのごめんなさい。



『瞳。大丈夫だよ。』

麗央は優しくあたしの背中をさすり、優しく髪を撫でた


『俺の事、信じてみて』


『あたし…あたし……麗央の事好きになれば良かったー…』



麗央の顔は見えなかった。

見れなかった。


麗央は優しくあたしを抱きしめてくれた


深く深く、体に力が伝わるみたいに。


麗央の体温と感触と麗央の息だけ。あたしは感じた。



事務所のモニターから、悲しくて切なくて、でも少し期待をしてる。でも儚く散りゆく恋の歌が流れてた。
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