親友のカラダ
決断
●シグレ●


瞳っ!!


逆ダイの嵐の中、あたしはもみくちゃになりながら耐えていた

いつもより人が多いライブハウスのボルテージは最高潮に達していて、息をするのも苦しい位だ


突然ぎゅーきゅー詰めだった人の波が乱れた


周囲の女の子達が将棋倒しみたいにザーッと倒れていって、あたしもその波に飲まれた



倒れ込む女の子

お構いなしに曲は進行され、人並みが乱れた事を利用して後ろにいた客たちが前へ前へ押し寄せてくる。


誰か酸欠で倒れたのかな

よくある事。


ある程度周りが起き上がったのに、数メートル先に小さな空間が出来ていた


後ろから人並みを掻き分けて何かを叫んで来た背の高い男の人


麗央だった


周りの音で麗央が何を叫んでいたのかは聞こえないけど、表情でわかった。


何か胸騒ぎがしたから


麗央がそのポッカリ空いた空間に辿り着いてしゃがみ込んだ。


立った時に麗央に抱きかかえられてるの…



『瞳!!瞳!!』


あたしも麗央について行こうとしても、人の流れにおされてとおるない…


逆ダイの嵐にまた飲み込まれる、偶然、手を伸ばせば届く所にサヤカちゃんが見えて精一杯手を伸ばして服を引っ張った


『サヤカちゃん!』


あたしの縋るような顔を見て、サヤカちゃんは思いっきり後ろの人を背中で押して、あたしを最前列に入れた。


『シグレどした?!逆ダイやばいよ大丈夫だった!?』


『瞳が潰されたの!!倒れてさっき外に運ばれてった!!!どーしよー…』


サヤカちゃんは顔を歪ませて、ルナっちやタカシナさんたちに話を回して、誰が飛んできてるかを見ていた


逆ダイで肋骨にヒビが入るとか、折れるとか、珍しい話ではない。

勿論、酸欠で倒れるとか、足のアザなんて当たり前



『シグレ行くよ!!』


常連のサヤカちゃんやルナっち達が動いた。ライブがまだ終わっていないのに、数人の女の子をに食ってかかって、外に連れ出した。


連れ出された女の子はルキさんのバンドの最近できた新しいファン。

剣のバンドの新しいファンの子
< 313 / 360 >

この作品をシェア

pagetop