うるさいアドバイスは嫌味としか思えません。意気地なしのアホとののしった相手はずっと年上の先輩です。
ウトウトとしたらしい。
目の前にバスタオルを巻いた姿で立たれていた。
ぼんやりとお腹を見る。
へそが見える。
毛はないか。
そう言えば胸にはない、良かった。
「起きて、風呂。」
わざわざ腕を伸ばして指をさす。
まるで小学生に言うお母さんじゃないか。
何だそりゃ。
ノロノロと起きだす。
うっかり何も持たずに来たと気がついたとのはシャワーの下でだった。
バスタオルを巻いて、この間の化粧品セットをまた借りた。
廊下に出るとすっかり暗くなっていた。
石橋さんも寝室から出てきたけど、さっきと同じ格好じゃないか。
もちろん自分も同じ格好だが。
「パジャマはいいよ。明日着ればいい。水も持って行ったし。ストッキング洗ったか?」
「洗って棒に掛けました。」
「じゃあ、これも。」
そう言ってバスタオルを取られた。
「おい!」
思わず声が出たのがそれだった。
「お前、それ少しも色気ない。せめて、キャッとか言ってくれ。」
剥ぎ取られかけたバスタオルを手に持ってつながってる二人。
自分のも外す気満々だろうから、速攻で手放して寝室に入った。
見られても、見てやらない。
それが正しいのかは分からないが。
それに、忘れてないぞ、まだ謝ってもらってない!
拘るから。最初が肝心だから。
ベッドに入って座って待つ。
本当にまた裸族で入ってきた。
まあ、一人暮らしだとそうなるなる。
楽だしね。だからと言って今はそれはいい。
「昨日、途中で電話切った。」
取りあえず言いたいことは言う、言うべきことだから言う。
「悪かった。お前があんまりヘラヘラしてたから。」
「してません。」
「十分してた。」
「それは女の先輩とのランチが楽しかったからです。そういえば入社した当時は人気があったらしいじゃないですか。先輩が言ってました。随分言い寄られたって。」
「記憶にない。」
そんな訳はない。睨んだ。
「記憶に止めるようなことじゃない。」
あ、そうですか。
「で、迫田とは何を話したんだ?」
「誰かが分かりやすかったらしくて、すっかりバレてました。昨日の朝もさりげなく聞かれましたし。今朝ため息をついてたのを聞かれて飲みに誘ってくれて、ひたすら愚痴を聞いてくれました。」
「それだけだな。」
「他に何があると言うんですか?」
「あるかもしれないだろう?」
「ないです。可愛い後輩を信じたらどうですか?それにバレバレだったよって、どんだけですか。視線を追われてたみたいですよ。気を付けてください。」
あんなに無理だ、合わないと言いながらも、先がある様に言う。
まあ、あんなプレゼントも頂いたし、裸族でベッドの上だし、少しはあるでしょう?
鼻で大きく息をつかれた。なんのため息だ!
「とりあえず、待ってて良かった、捕まえられたし。まさかわざわざそっちが入って来てくれるとは思ってなかったけど。」
もしや安堵のため息だったのか。
顔をあげた。
「いつもそう素直に言ってください。もっと自信もってどんと構えて、バシッと言い切って、私のことも信じてください。」
「そりゃあ、信じるしかなくなった。さっき老後の心配までされて、おじいさんになっても横にいるからって大丈夫だって言われたしな。」
何、いつ?さっき?電車の中の事?
「そんなつもりじゃないです。」
「想像したんだろう、俺はかっこいい年上のシルバー感のある爺さんになれてたか?」
なんじゃそりゃ。
「シミだらけで腰も曲がって眼鏡もズレてて、とぼとぼ歩いてました。」
「そうか、残念。」
「そう言うお前も髪の毛の頭頂部分だけ禿げて、歯も抜けて、しわだらけでも怒ってるだろうな。」
それは嫌だ。全体的に薄くなって欲しい。頭頂だけって、悲しい。
「まあ、それも楽しみだが。」
「そうはなりません。」
絶対。可愛いおばあちゃんになってやるって、そう言う問題じゃないけど。
「まあ、いい。未来はまだ先だし。今を大切にしなきゃな。」
体を抱きしめられて寝かされた。
引きづられたとも言う。
のんびりしたムードは消え去った。
「反省してる。」
そう言いながらキスをする。
昨日の電話のことなら、是非して欲しい。二度とあんなことはして欲しくない。
「うん。」
私は謝らない。その代わりに今の返事で許すと言うことになったんだと思う。
やたらと胸のあたりに痛みを感じる。
さすがに痕跡は見えないところにしか残せない。
どうせジャケットも脱げなくて、ボタンも外せない。
同じように吸い付いて痛いと言われるまで同じことをした。
もちろん胸あたりに。
「可愛いなあ、素直になると。」
お互い様だって。
ああ、これは迫田君にはなんて報告をすればいいんだろう。
話をして仲直りしたでいいんだろうか?
微睡みながらそう考えて笑えた。
何でそう素直に何でも報告したがるんだろう?
『それは惚気ですか?』
和央には嫌がられたけど。
「もう寝るのか?」
そう言われた。疲れた眠い。
返事もしないで目を閉じた。
「笑顔で寝てるのも可愛いけどな。」
そうつぶやかれた。
笑ってたらしい、不気味じゃないならいい。
目の前にバスタオルを巻いた姿で立たれていた。
ぼんやりとお腹を見る。
へそが見える。
毛はないか。
そう言えば胸にはない、良かった。
「起きて、風呂。」
わざわざ腕を伸ばして指をさす。
まるで小学生に言うお母さんじゃないか。
何だそりゃ。
ノロノロと起きだす。
うっかり何も持たずに来たと気がついたとのはシャワーの下でだった。
バスタオルを巻いて、この間の化粧品セットをまた借りた。
廊下に出るとすっかり暗くなっていた。
石橋さんも寝室から出てきたけど、さっきと同じ格好じゃないか。
もちろん自分も同じ格好だが。
「パジャマはいいよ。明日着ればいい。水も持って行ったし。ストッキング洗ったか?」
「洗って棒に掛けました。」
「じゃあ、これも。」
そう言ってバスタオルを取られた。
「おい!」
思わず声が出たのがそれだった。
「お前、それ少しも色気ない。せめて、キャッとか言ってくれ。」
剥ぎ取られかけたバスタオルを手に持ってつながってる二人。
自分のも外す気満々だろうから、速攻で手放して寝室に入った。
見られても、見てやらない。
それが正しいのかは分からないが。
それに、忘れてないぞ、まだ謝ってもらってない!
拘るから。最初が肝心だから。
ベッドに入って座って待つ。
本当にまた裸族で入ってきた。
まあ、一人暮らしだとそうなるなる。
楽だしね。だからと言って今はそれはいい。
「昨日、途中で電話切った。」
取りあえず言いたいことは言う、言うべきことだから言う。
「悪かった。お前があんまりヘラヘラしてたから。」
「してません。」
「十分してた。」
「それは女の先輩とのランチが楽しかったからです。そういえば入社した当時は人気があったらしいじゃないですか。先輩が言ってました。随分言い寄られたって。」
「記憶にない。」
そんな訳はない。睨んだ。
「記憶に止めるようなことじゃない。」
あ、そうですか。
「で、迫田とは何を話したんだ?」
「誰かが分かりやすかったらしくて、すっかりバレてました。昨日の朝もさりげなく聞かれましたし。今朝ため息をついてたのを聞かれて飲みに誘ってくれて、ひたすら愚痴を聞いてくれました。」
「それだけだな。」
「他に何があると言うんですか?」
「あるかもしれないだろう?」
「ないです。可愛い後輩を信じたらどうですか?それにバレバレだったよって、どんだけですか。視線を追われてたみたいですよ。気を付けてください。」
あんなに無理だ、合わないと言いながらも、先がある様に言う。
まあ、あんなプレゼントも頂いたし、裸族でベッドの上だし、少しはあるでしょう?
鼻で大きく息をつかれた。なんのため息だ!
「とりあえず、待ってて良かった、捕まえられたし。まさかわざわざそっちが入って来てくれるとは思ってなかったけど。」
もしや安堵のため息だったのか。
顔をあげた。
「いつもそう素直に言ってください。もっと自信もってどんと構えて、バシッと言い切って、私のことも信じてください。」
「そりゃあ、信じるしかなくなった。さっき老後の心配までされて、おじいさんになっても横にいるからって大丈夫だって言われたしな。」
何、いつ?さっき?電車の中の事?
「そんなつもりじゃないです。」
「想像したんだろう、俺はかっこいい年上のシルバー感のある爺さんになれてたか?」
なんじゃそりゃ。
「シミだらけで腰も曲がって眼鏡もズレてて、とぼとぼ歩いてました。」
「そうか、残念。」
「そう言うお前も髪の毛の頭頂部分だけ禿げて、歯も抜けて、しわだらけでも怒ってるだろうな。」
それは嫌だ。全体的に薄くなって欲しい。頭頂だけって、悲しい。
「まあ、それも楽しみだが。」
「そうはなりません。」
絶対。可愛いおばあちゃんになってやるって、そう言う問題じゃないけど。
「まあ、いい。未来はまだ先だし。今を大切にしなきゃな。」
体を抱きしめられて寝かされた。
引きづられたとも言う。
のんびりしたムードは消え去った。
「反省してる。」
そう言いながらキスをする。
昨日の電話のことなら、是非して欲しい。二度とあんなことはして欲しくない。
「うん。」
私は謝らない。その代わりに今の返事で許すと言うことになったんだと思う。
やたらと胸のあたりに痛みを感じる。
さすがに痕跡は見えないところにしか残せない。
どうせジャケットも脱げなくて、ボタンも外せない。
同じように吸い付いて痛いと言われるまで同じことをした。
もちろん胸あたりに。
「可愛いなあ、素直になると。」
お互い様だって。
ああ、これは迫田君にはなんて報告をすればいいんだろう。
話をして仲直りしたでいいんだろうか?
微睡みながらそう考えて笑えた。
何でそう素直に何でも報告したがるんだろう?
『それは惚気ですか?』
和央には嫌がられたけど。
「もう寝るのか?」
そう言われた。疲れた眠い。
返事もしないで目を閉じた。
「笑顔で寝てるのも可愛いけどな。」
そうつぶやかれた。
笑ってたらしい、不気味じゃないならいい。