うるさいアドバイスは嫌味としか思えません。意気地なしのアホとののしった相手はずっと年上の先輩です。
22誤解がどうなってるのか分からないまま。
やっぱり寝心地がいいのだ。ぐっすり眠れた。パッチリ目が覚めた。
手を伸ばして時計を見る。
あと少し眠れる・・・・けど早く行った方がいいとも思う。
ゆっくり腕の中を抜けて起きだす。
おお・・・・、何もない。
ダッシュで寝室を飛び出して、昨日持ち忘れたセットも持ってシャワーを浴びた。
ストッキングも乾いていてよかった。
スッキリしてパジャマ代わりに着替えをして、コーヒーをいれる。
窓辺のカーテンを開けて空気を入れかえて背伸びをする。
ああ、気持ちのいい朝じゃないか!
居心地がいい部屋だ。
広くてきれいで物がない。
冷蔵庫からヨーグルトとサンドイッチを出す。
化粧をしていたら起きてきた。
ボサボサの頭をかきあげながら、裸族のままやって来たのは当然で、急いで後ろを向いてやった。
「おはようございます。」
「おはよう。早いな。さっさと先に起きたんだ、少しくらい待っててくれてもいいのに。」
後ろから体重をかけられた、重い。
「早く行ってロッカーの服と取り替えます。」
「あのブラウス着てくれないの?」
「もちろん着ますが、スーツを取り替えます。」
「早く行きたいんだ。」
「当たり前です。何で雨の日でもないのにスーツを取り替えてるんですかって話です。恥ずかしいです。」
「付き合ってやる。」
まあまあ、当たり前です。
「じゃあ、早くシャワーを。」
「うん。」
そう言ってやっと離れて行った。
その間に寝室で着替えた。
やっぱりブラウスはいいやつだ。
サイズもピッタリだし、ちょっとデザインもいいじゃないか。
ただ、下着は綺麗に透けていた。
ちょっと色っぽくない?
自分でそう思ったりしたけど。
寝室のカーテンと窓を開けてべ、べッドを整えて、そのままリビングへ。
カップにコーヒーをいれて朝ごはんを運ぶ。
ソファの横の箱に残りの下着のセットがある。
ここに置いて行くだろう。
昨日の下着とブラウスはコンビニ袋に入れて丸めてバッグに押し込んだ。
下着はともかく、ブラウスは洗濯してもらいたい気もするけど。
どう?
「お、似合うね。いいじゃん。サイズもピッタリ。」
きちんと立って見せた。
「高かったんじゃないですか?すごくいいです。」
「お祝いだからいいけど、下着が透けるな。」
「こんな濃い色を買うからです。もう一つよりはまだいいかと思います。」
「そうか、そこまでは考えなかった。やっぱり下着は週末用な。」
色っぽいとか何とかの評価はもらえなかった。
まだ足りないか?
「ブラウスは洗濯してやるから、置いてってもいいぞ。アイロンもきれいにかけてやる。」
ごそごそとバッグにしまったコンビニ袋を開く。
ブラウスを取り出してお礼を言う。
「それ落とすなよ。」
コンビニ袋を指さして言われた。
「当たり前です。」
そう言ってバッグの奥にギュギュッと押し込んだ。
会社に着いたのは早かった。
そのままロッカーに行って、スカートを持って、トイレに入った。
スカートをはき替えてホッと一息。
それでも急いで戻ってジャケットも替えた。
一安心。
何となく証拠隠滅みたいな気分だ。
スプレーしてジャケットとスカートをロッカーに入れておく。
せっかくのブラウスもジャケットに隠れて良さが今一つ伝わらない。
もったいないけどしょうがない。
ランチ時、早めに終わった打合せに帰ってきたら、そのまま先輩二人に連れだされた。
なんだかニコニコしてるし、ちょっといろんな心当たりが多すぎて。
何でしょうか?
「今週金曜日飲みに行こう。」
「社内のいいところを集めました!」
あぁ遅かった、というか先輩達が素早すぎる。
もう喧嘩の種は撒きたくない。
言うしかない。今ならなんとか間に合うかも。
ただの飲み会にしてもいいし、他の誰かを誘ってもらってもいいし。
「あの、すみません、・・・・・ちょっとだけ、好きな人ができまして。」
「えっ、そうなの?」
驚くのももっともです。
「どこから聞いていいのか。」
「すみません。まだ昨日今日みたいな話で、この間はちょっと言えなくて。」
「昨日今日・・・・。」
そうつぶやかれた。
「いゃぁ、まあまあの出来立てというか、なんというか・・・・。」
「あああ~そうかぁ。じゃあ、悪いもんね。あの子も折角勇気出したのに。」
「そうよね。じゃあ今回は違う子に声かけてみよう。気にしないでいいよ。何かあったら相談にのるから。」
「なかなかいろいろと誘いがあったらしいけど選ばれたのが美弥ちゃんならね。良かったね。」
ああ、あの、相手が誰かを決めつけられてるんですが、多分、間違ってます。
あの子・・・・て。迫田君って思ってる?
完全に違う。
昨日の誘いのまま、ふたりで先輩たちの前を通って帰った。
そのせいで誤解されてるかも。
昨日と言ってしまったら、そう思うのも当然かも。
「あの、違います、まだ。」
「まだ?」
「はっきりとは。」
「そう、分かった。とりあえず応援する。」
どうしよう。
はっきりとは・・・・ってなんて思われた?
『はっきりとは返事してない』とか思われた?
このまま誤解されたままなのも、迫田君の言う『協力するよ』に入る?
そんなわけ無いじゃない!
でも謝ろう。
あえてそこは違いますとは言わなかったから。
誰が困るだろう。
迫田君本人と迫田君にアプローチしたい人。
絶対広がらないように・・・・って、それは無理でしょう?
やっぱり否定しよう。
「あの、多分思ってる人じゃないです。」
「違う?」
「はい、同期のその人ではないです。」
「そうなの?二人で昨日飲みに行ってたし。」
やっぱり・・・。
「はい、ちょっと他のことで相談があって。他の二人が駄目だったけどたまにはいいかなって。」
「そう。」
「まあいいよ。相手は誰でも。がんばろ!」
相手は誰でも・・・・本当にそう思ってもらえたらいいです。
でも驚くと思います。
多分、先輩たちが一番に驚くと思います。
嵯峨野さんとどっちかと言うと、先輩たちでしょう。
あああ・・・・・。難しい。隠し事ってなかなか難しい。
「大丈夫。きっとうまくいくから。」
「そう、元気と笑顔で行こう。」
「はい。」
何か勘違いされたみたいだけど、それならそれで。
でもちょっとだけ社内の他の課の男の人にも興味があったりして。
なかなか交流がないから知り合いが増えない。
会社の噂話を面白がるにしても個人を識別できないと面白さも半減する。
それじゃあつまらないから。
知り合いは欲しいけど、多分今は無理だろう。また喧嘩になる。
それに知り合いが増えたら目撃される可能性も増えるから、まあいいか。
迫田君にはタイミングを見つけてこっそり謝った。
先輩達もちゃんと分かってくれたと思う。
休憩室で偶然の振りしてこっそり話しかけた。
「仲直りできたんならいいよ。別に僕は今のところ問題ないし。むしろそんな誤解も面白かったりしてね。そのうち僕が『気の毒な寝取られ君』になるのかな?」
「はい?」
何でそんなことが言えるの?
楽しめるの?
いい人を通り越して、変な人だよそれじゃあ。
とりあえずスーツはそのままロッカーに入れて、着ていたスーツで帰った。
ジャケットにスプレーをかけて、ハンガーに干しておく。
明日持って行こう。
やっぱり取り替えよう。
手を伸ばして時計を見る。
あと少し眠れる・・・・けど早く行った方がいいとも思う。
ゆっくり腕の中を抜けて起きだす。
おお・・・・、何もない。
ダッシュで寝室を飛び出して、昨日持ち忘れたセットも持ってシャワーを浴びた。
ストッキングも乾いていてよかった。
スッキリしてパジャマ代わりに着替えをして、コーヒーをいれる。
窓辺のカーテンを開けて空気を入れかえて背伸びをする。
ああ、気持ちのいい朝じゃないか!
居心地がいい部屋だ。
広くてきれいで物がない。
冷蔵庫からヨーグルトとサンドイッチを出す。
化粧をしていたら起きてきた。
ボサボサの頭をかきあげながら、裸族のままやって来たのは当然で、急いで後ろを向いてやった。
「おはようございます。」
「おはよう。早いな。さっさと先に起きたんだ、少しくらい待っててくれてもいいのに。」
後ろから体重をかけられた、重い。
「早く行ってロッカーの服と取り替えます。」
「あのブラウス着てくれないの?」
「もちろん着ますが、スーツを取り替えます。」
「早く行きたいんだ。」
「当たり前です。何で雨の日でもないのにスーツを取り替えてるんですかって話です。恥ずかしいです。」
「付き合ってやる。」
まあまあ、当たり前です。
「じゃあ、早くシャワーを。」
「うん。」
そう言ってやっと離れて行った。
その間に寝室で着替えた。
やっぱりブラウスはいいやつだ。
サイズもピッタリだし、ちょっとデザインもいいじゃないか。
ただ、下着は綺麗に透けていた。
ちょっと色っぽくない?
自分でそう思ったりしたけど。
寝室のカーテンと窓を開けてべ、べッドを整えて、そのままリビングへ。
カップにコーヒーをいれて朝ごはんを運ぶ。
ソファの横の箱に残りの下着のセットがある。
ここに置いて行くだろう。
昨日の下着とブラウスはコンビニ袋に入れて丸めてバッグに押し込んだ。
下着はともかく、ブラウスは洗濯してもらいたい気もするけど。
どう?
「お、似合うね。いいじゃん。サイズもピッタリ。」
きちんと立って見せた。
「高かったんじゃないですか?すごくいいです。」
「お祝いだからいいけど、下着が透けるな。」
「こんな濃い色を買うからです。もう一つよりはまだいいかと思います。」
「そうか、そこまでは考えなかった。やっぱり下着は週末用な。」
色っぽいとか何とかの評価はもらえなかった。
まだ足りないか?
「ブラウスは洗濯してやるから、置いてってもいいぞ。アイロンもきれいにかけてやる。」
ごそごそとバッグにしまったコンビニ袋を開く。
ブラウスを取り出してお礼を言う。
「それ落とすなよ。」
コンビニ袋を指さして言われた。
「当たり前です。」
そう言ってバッグの奥にギュギュッと押し込んだ。
会社に着いたのは早かった。
そのままロッカーに行って、スカートを持って、トイレに入った。
スカートをはき替えてホッと一息。
それでも急いで戻ってジャケットも替えた。
一安心。
何となく証拠隠滅みたいな気分だ。
スプレーしてジャケットとスカートをロッカーに入れておく。
せっかくのブラウスもジャケットに隠れて良さが今一つ伝わらない。
もったいないけどしょうがない。
ランチ時、早めに終わった打合せに帰ってきたら、そのまま先輩二人に連れだされた。
なんだかニコニコしてるし、ちょっといろんな心当たりが多すぎて。
何でしょうか?
「今週金曜日飲みに行こう。」
「社内のいいところを集めました!」
あぁ遅かった、というか先輩達が素早すぎる。
もう喧嘩の種は撒きたくない。
言うしかない。今ならなんとか間に合うかも。
ただの飲み会にしてもいいし、他の誰かを誘ってもらってもいいし。
「あの、すみません、・・・・・ちょっとだけ、好きな人ができまして。」
「えっ、そうなの?」
驚くのももっともです。
「どこから聞いていいのか。」
「すみません。まだ昨日今日みたいな話で、この間はちょっと言えなくて。」
「昨日今日・・・・。」
そうつぶやかれた。
「いゃぁ、まあまあの出来立てというか、なんというか・・・・。」
「あああ~そうかぁ。じゃあ、悪いもんね。あの子も折角勇気出したのに。」
「そうよね。じゃあ今回は違う子に声かけてみよう。気にしないでいいよ。何かあったら相談にのるから。」
「なかなかいろいろと誘いがあったらしいけど選ばれたのが美弥ちゃんならね。良かったね。」
ああ、あの、相手が誰かを決めつけられてるんですが、多分、間違ってます。
あの子・・・・て。迫田君って思ってる?
完全に違う。
昨日の誘いのまま、ふたりで先輩たちの前を通って帰った。
そのせいで誤解されてるかも。
昨日と言ってしまったら、そう思うのも当然かも。
「あの、違います、まだ。」
「まだ?」
「はっきりとは。」
「そう、分かった。とりあえず応援する。」
どうしよう。
はっきりとは・・・・ってなんて思われた?
『はっきりとは返事してない』とか思われた?
このまま誤解されたままなのも、迫田君の言う『協力するよ』に入る?
そんなわけ無いじゃない!
でも謝ろう。
あえてそこは違いますとは言わなかったから。
誰が困るだろう。
迫田君本人と迫田君にアプローチしたい人。
絶対広がらないように・・・・って、それは無理でしょう?
やっぱり否定しよう。
「あの、多分思ってる人じゃないです。」
「違う?」
「はい、同期のその人ではないです。」
「そうなの?二人で昨日飲みに行ってたし。」
やっぱり・・・。
「はい、ちょっと他のことで相談があって。他の二人が駄目だったけどたまにはいいかなって。」
「そう。」
「まあいいよ。相手は誰でも。がんばろ!」
相手は誰でも・・・・本当にそう思ってもらえたらいいです。
でも驚くと思います。
多分、先輩たちが一番に驚くと思います。
嵯峨野さんとどっちかと言うと、先輩たちでしょう。
あああ・・・・・。難しい。隠し事ってなかなか難しい。
「大丈夫。きっとうまくいくから。」
「そう、元気と笑顔で行こう。」
「はい。」
何か勘違いされたみたいだけど、それならそれで。
でもちょっとだけ社内の他の課の男の人にも興味があったりして。
なかなか交流がないから知り合いが増えない。
会社の噂話を面白がるにしても個人を識別できないと面白さも半減する。
それじゃあつまらないから。
知り合いは欲しいけど、多分今は無理だろう。また喧嘩になる。
それに知り合いが増えたら目撃される可能性も増えるから、まあいいか。
迫田君にはタイミングを見つけてこっそり謝った。
先輩達もちゃんと分かってくれたと思う。
休憩室で偶然の振りしてこっそり話しかけた。
「仲直りできたんならいいよ。別に僕は今のところ問題ないし。むしろそんな誤解も面白かったりしてね。そのうち僕が『気の毒な寝取られ君』になるのかな?」
「はい?」
何でそんなことが言えるの?
楽しめるの?
いい人を通り越して、変な人だよそれじゃあ。
とりあえずスーツはそのままロッカーに入れて、着ていたスーツで帰った。
ジャケットにスプレーをかけて、ハンガーに干しておく。
明日持って行こう。
やっぱり取り替えよう。