美しい敵国の将軍は私を捕らえ不器用に寵愛する。
恵子と魏冄
ある日、私が生活している彼の陣営に彼と共に長身で細身で、黒い髪に整った顔をした、いわゆる中国の官僚と言った感じの男が白起と共に入ってきた。
そして男は私を見ると言った。
「これは驚いた。本当に一緒に暮らしてるのか。珍しいね。全く他人を信用しな白起が自分の寝顔を他人に見せるなんて。」
私はこの陣営に白起以外の人間が入ってくるのが始めてであったため驚いて言った。
「すみません。どちら様でしょうか。」
すると男は答えた。
「そっか。自己紹介がまだだったね。俺は魏冄ギゼン。白起とは腐れ縁で、秦国の宰相をやってます。」
私はその名前を聞いて驚いた。
魏冄といえば趙の国では腐敗政治家の象徴であるため脂ぎったおじさんであるとばかり思っていたためである。
そして私が今度は自分の名を語ろうとすると白起がそれを制した。
「自己紹介の必要は無い。魏冄。どうだ?お前の望みどおり恵子を見せてやった。これで満足だろう。」
こういう時の白起は少し恐ろしい。
大抵の人間はこれで恐れをなし私とは関わろうとしなくなってしまう。
そのため、私には秦の軍の中に白起以外に親しく話せる人間が居なかった。
恐らく、私が逃げないようにするための白起の作戦の一つなのだろう。
しかし、魏冄は気にした様子が無く話を続けた。
「なるほど。本気で惚れてるんだな。まあ良いか。この様子じゃ、陰で男を操るような人ではなさそうだし」
そして私に向けて話し出した。
「恵子ちゃんだっけ。ありがとね。君が来てから白起の奴、随分楽しそうなんだ」
まるで私を白起の恋人のように話すのを聞いて私は、魏冄は私がどの様にしてここに連れて来られたかを知らないのだなと思った。
しかし、わざわざ言う事ではないので黙っていた。
すると魏冄は私に近づき私にだけ聞こえる声で言った。
「もし可能なら支えてやって欲しい。このままだとあいつは近い将来自滅するだろう」
白起はそれを見ると刀を抜き言った。
「おい。魏冄。俺の女に手を出す気ならお前といえども容赦しないぞ」
魏冄はそれに対して悪い笑みを浮かべて答えた。
「俺の女って言ってもなあ。キス位はしたのか?」
すると白起は照れたような様子で下を向いた。
「別にどうでも良いことだ」
「へー。経験が無いわけでもないだろうに。本気の恋は初めてって事か。」
実際は私と白起は手すらつないだ事がない。
私は白起が照れている様子を少し可愛いと思った。
同時に、過去に彼が他の女性を抱いている姿を想像して少し胸が痛んだ。
「まあ。そういうわけだから。よろしく頼むよ」
魏冄はそう言うと陣営を去っていった。
私は何だか照れくさくなり白起から顔を背けた。
すると白起は私に対して言った。
「俺はお前とそういう事をするためにお前を連れて来たんじゃない。安心しろ。」
それを聞いて私は白起が私を大切に思ってくれている事を感じ何だか安心した。
それと同時に白起が私を無理やりここに連れてきた事を考えるとなんていびつな人だろうと思った。
「無理やり私を閉じ込めておいて、今更そんな事を言われても説得力がないですよ」
だから私は笑ってそう言ったのだった。
そして男は私を見ると言った。
「これは驚いた。本当に一緒に暮らしてるのか。珍しいね。全く他人を信用しな白起が自分の寝顔を他人に見せるなんて。」
私はこの陣営に白起以外の人間が入ってくるのが始めてであったため驚いて言った。
「すみません。どちら様でしょうか。」
すると男は答えた。
「そっか。自己紹介がまだだったね。俺は魏冄ギゼン。白起とは腐れ縁で、秦国の宰相をやってます。」
私はその名前を聞いて驚いた。
魏冄といえば趙の国では腐敗政治家の象徴であるため脂ぎったおじさんであるとばかり思っていたためである。
そして私が今度は自分の名を語ろうとすると白起がそれを制した。
「自己紹介の必要は無い。魏冄。どうだ?お前の望みどおり恵子を見せてやった。これで満足だろう。」
こういう時の白起は少し恐ろしい。
大抵の人間はこれで恐れをなし私とは関わろうとしなくなってしまう。
そのため、私には秦の軍の中に白起以外に親しく話せる人間が居なかった。
恐らく、私が逃げないようにするための白起の作戦の一つなのだろう。
しかし、魏冄は気にした様子が無く話を続けた。
「なるほど。本気で惚れてるんだな。まあ良いか。この様子じゃ、陰で男を操るような人ではなさそうだし」
そして私に向けて話し出した。
「恵子ちゃんだっけ。ありがとね。君が来てから白起の奴、随分楽しそうなんだ」
まるで私を白起の恋人のように話すのを聞いて私は、魏冄は私がどの様にしてここに連れて来られたかを知らないのだなと思った。
しかし、わざわざ言う事ではないので黙っていた。
すると魏冄は私に近づき私にだけ聞こえる声で言った。
「もし可能なら支えてやって欲しい。このままだとあいつは近い将来自滅するだろう」
白起はそれを見ると刀を抜き言った。
「おい。魏冄。俺の女に手を出す気ならお前といえども容赦しないぞ」
魏冄はそれに対して悪い笑みを浮かべて答えた。
「俺の女って言ってもなあ。キス位はしたのか?」
すると白起は照れたような様子で下を向いた。
「別にどうでも良いことだ」
「へー。経験が無いわけでもないだろうに。本気の恋は初めてって事か。」
実際は私と白起は手すらつないだ事がない。
私は白起が照れている様子を少し可愛いと思った。
同時に、過去に彼が他の女性を抱いている姿を想像して少し胸が痛んだ。
「まあ。そういうわけだから。よろしく頼むよ」
魏冄はそう言うと陣営を去っていった。
私は何だか照れくさくなり白起から顔を背けた。
すると白起は私に対して言った。
「俺はお前とそういう事をするためにお前を連れて来たんじゃない。安心しろ。」
それを聞いて私は白起が私を大切に思ってくれている事を感じ何だか安心した。
それと同時に白起が私を無理やりここに連れてきた事を考えるとなんていびつな人だろうと思った。
「無理やり私を閉じ込めておいて、今更そんな事を言われても説得力がないですよ」
だから私は笑ってそう言ったのだった。