美しい敵国の将軍は私を捕らえ不器用に寵愛する。
副将軍と恵子
私が白起の仕事の整理をした結果、白起の仕事の3分の1くらいは副将軍の王齕おうこつに任される事となった。
ところがその事が気に食わなかったのか、白起が居ない隙を突いて、王齕が文句を言いに来た。
王齕は私を見ると言った。
「お前が噂の愛人か。白起様になにを吹き込んだ。」
王齕は凄い剣幕だった。
しかし、普段から白起と暮らしてきた私には、迫力不足で大してなにも感じなかった。
私は言った。
「別に何も言っていません。ただ白起様の仕事を整理しただけです。」
すると王齕は言った。
「余計な事をしやがって」
私は随分と態度が大きいなと思った。
そして昔の会社の上司を少し思い出した。
こういう人間は結局、受け流すしかない。
私は言った。
「申し訳ありません。ですが私は白起様の信任を受けて業務に当たっています。私に対して不満を言うという事は白起様に不満を言うという事です。その意味が分かっているのですか。」
すると王齕はさらに怒りを募らせて、私を怒鳴りつけた。
「女がぐちゃぐちゃうるせえよ」
私は生まれつき気が短いほうだ。
その事は自覚している。
でも私が怒るのは、その事で何かが達成できると思うときである。
私はこの男に対して怒るのは時間の無駄だと思った。
そこで、私は言った。
「話はそれだけですか。それなら、出て行ってもらえます?私は忙しいので」
すると私に脅しが効かないと分かり、白起にこの事が発覚する事を恐れる王齕は私に対して下手に出た。
「言いすぎた。悪い。あんたが綺麗だからつい口が滑っちまった。」
私はその言葉を聞いて思った。
(こいつ反省してない。)
女というものを舐めているのだろう。
そして私はふと気付いた。
確かに私は昔の社会でこういう仕打ちをただ受け流してきた。
しかし、別にこの世界でそうする必要は無いのでは無いだろうか。
むしろ、こういう世界だからこそ、それまで我慢した分怒っても良いかもしれない。
こういう男は痛い目を見たほうが良いのだ。
私は言った。
「王齕。それ以上私を侮辱するならこっちにも考えがあるぞ」
王齕は目を見開き、こちらをにらんだ。
「何をする気だよ」
私は言った。
「お前。大分軍のお金をごまかしてるだろ。あれをばらすぞ」
実は私は、白起の仕事を手伝ううちにこの男が軍の資金を不正に利用している事に気付いていた。
しかし、金額がかわいいものだったので放っておいていたのだ。
もしこれが白起にばれたら清廉な彼のことだ、王齕はまともな死に方が出来ないだろう。
それを聞くと王齕は顔面蒼白になり、土下座して許しを乞うた。
それを見て私は言った。
「もう良いから。立ち去れ。そしてこれからは真面目に働け」
「はい。」
王齕は涙目でそう言うと、立ち去って言った。
「元の世界でもこうやってやればよかったのかな」
私は少しすっきりして、そう呟いたのだった。
ところがその事が気に食わなかったのか、白起が居ない隙を突いて、王齕が文句を言いに来た。
王齕は私を見ると言った。
「お前が噂の愛人か。白起様になにを吹き込んだ。」
王齕は凄い剣幕だった。
しかし、普段から白起と暮らしてきた私には、迫力不足で大してなにも感じなかった。
私は言った。
「別に何も言っていません。ただ白起様の仕事を整理しただけです。」
すると王齕は言った。
「余計な事をしやがって」
私は随分と態度が大きいなと思った。
そして昔の会社の上司を少し思い出した。
こういう人間は結局、受け流すしかない。
私は言った。
「申し訳ありません。ですが私は白起様の信任を受けて業務に当たっています。私に対して不満を言うという事は白起様に不満を言うという事です。その意味が分かっているのですか。」
すると王齕はさらに怒りを募らせて、私を怒鳴りつけた。
「女がぐちゃぐちゃうるせえよ」
私は生まれつき気が短いほうだ。
その事は自覚している。
でも私が怒るのは、その事で何かが達成できると思うときである。
私はこの男に対して怒るのは時間の無駄だと思った。
そこで、私は言った。
「話はそれだけですか。それなら、出て行ってもらえます?私は忙しいので」
すると私に脅しが効かないと分かり、白起にこの事が発覚する事を恐れる王齕は私に対して下手に出た。
「言いすぎた。悪い。あんたが綺麗だからつい口が滑っちまった。」
私はその言葉を聞いて思った。
(こいつ反省してない。)
女というものを舐めているのだろう。
そして私はふと気付いた。
確かに私は昔の社会でこういう仕打ちをただ受け流してきた。
しかし、別にこの世界でそうする必要は無いのでは無いだろうか。
むしろ、こういう世界だからこそ、それまで我慢した分怒っても良いかもしれない。
こういう男は痛い目を見たほうが良いのだ。
私は言った。
「王齕。それ以上私を侮辱するならこっちにも考えがあるぞ」
王齕は目を見開き、こちらをにらんだ。
「何をする気だよ」
私は言った。
「お前。大分軍のお金をごまかしてるだろ。あれをばらすぞ」
実は私は、白起の仕事を手伝ううちにこの男が軍の資金を不正に利用している事に気付いていた。
しかし、金額がかわいいものだったので放っておいていたのだ。
もしこれが白起にばれたら清廉な彼のことだ、王齕はまともな死に方が出来ないだろう。
それを聞くと王齕は顔面蒼白になり、土下座して許しを乞うた。
それを見て私は言った。
「もう良いから。立ち去れ。そしてこれからは真面目に働け」
「はい。」
王齕は涙目でそう言うと、立ち去って言った。
「元の世界でもこうやってやればよかったのかな」
私は少しすっきりして、そう呟いたのだった。