美しい敵国の将軍は私を捕らえ不器用に寵愛する。
星空の下で
ある日。
仕事を終えて、白起の陣営に戻ると白起から声をかけられた。
「少し外に出ないか?」
私は白起の珍しい提案に驚いたが断る理由も無いため頷いた。
そして2人で陣営の外をしばらく歩き、広い野原にやってきた。
「見てみろ。星が綺麗だろ」
白起は空を指差した。
「本当ですね」
私は、素晴らしい星空に驚いた。
多分車とかがないから空気が綺麗なのと、明かりがないからだろう。
星空に見とれる私を見て白起は言った。
「信じられないかも知れないが、俺は星を見るのが好きなんだ。小さい頃は良く母と共にこうやって空を見上げていた。」
「確かに意外ですね」
「そうだろ。最近は全く見なくなっていたからな。それだけ余裕が無かったんだろう。それが今日はなんだか星を見たい気分になった。お前のお陰だな」
私は白起の言葉を聞いてなんともいえない誇らしい気持ちになった。
「いいえ。私も好きでやっているので」
すると白起はゆっくりと語りだした。
「お前と居るとなんだか気が安らぐ。多分お前が異世界から来たからだろう。俺もここでは部外者だからな」
白起は西洋人の母から生まれている。
そのため見た目からして他の人々とは大きく異なっていた。
「昔は大分苦労した。なにせこの見た目だったからな。差別や迫害は日常茶飯事だった。父は居なかったから誰も守ってくれる人は居なかった。」
どこの時代、どこの国でも他と違う者は叩かれる。
ましてや、見た目という誰から見ても明らかな部分が違うことから来る差別は並大抵なものではない。
だから白起はきっと凄く苦労したのだろうと思った。
「それでも、母を生かすために戦にでて必死に戦った。そしたら運良く、魏冄という男に見出されて将軍になれた。だがそこからも苦難の連続だ。他人からの嫉妬や、憎悪を一身に受けることになったし、何より戦場は自分が死ぬか相手が死ぬか選ぶ場所だ。ずっと居ると気が狂いそうになるし、いくら手柄を上げても貯まって行くのは他人を殺したという事実だけだ。」
私はそれを聞いて私が彼を放っておけないのは彼のこういう部分を感じていたからだと思った。
なんだか私と彼はかぶるのだ。
だから彼は私の過去の話を聞いて心を開いてくれたのだろう。
「ところが戦に明け暮れ、気付いたら、俺の母は死んでいた。俺は思ったよ。俺は一体何のために生まれたのだろうとな。」
「なあ。恵子。俺はなんのために生まれたんだ」
彼は唐突に私に問いかけた。
私はその問いかけに少し考えてから答えた。
「それを決めるのは私ではなくあなたです。あなたならきっと見つけられますよ。」
それを聞くと彼は笑顔で言った。
「では、俺が生きる意味を見つけるのを手伝ってくれないか?その代わり俺の全てをお前にやろう」
私はこの問いかけを断るべきとも思った。
彼にこれ以上入れ込むのは色々と危険だからである。
でも彼の笑顔を見ていたら、その顔を守りたくて仕方なくなって断るなんて事は無理だった。
だから私は言った。
「私で良かったら喜んで」
もしかしたらこれは愛の告白だったのかもしれない。
私がそれに気付いたのはもう少し後の事だった。
仕事を終えて、白起の陣営に戻ると白起から声をかけられた。
「少し外に出ないか?」
私は白起の珍しい提案に驚いたが断る理由も無いため頷いた。
そして2人で陣営の外をしばらく歩き、広い野原にやってきた。
「見てみろ。星が綺麗だろ」
白起は空を指差した。
「本当ですね」
私は、素晴らしい星空に驚いた。
多分車とかがないから空気が綺麗なのと、明かりがないからだろう。
星空に見とれる私を見て白起は言った。
「信じられないかも知れないが、俺は星を見るのが好きなんだ。小さい頃は良く母と共にこうやって空を見上げていた。」
「確かに意外ですね」
「そうだろ。最近は全く見なくなっていたからな。それだけ余裕が無かったんだろう。それが今日はなんだか星を見たい気分になった。お前のお陰だな」
私は白起の言葉を聞いてなんともいえない誇らしい気持ちになった。
「いいえ。私も好きでやっているので」
すると白起はゆっくりと語りだした。
「お前と居るとなんだか気が安らぐ。多分お前が異世界から来たからだろう。俺もここでは部外者だからな」
白起は西洋人の母から生まれている。
そのため見た目からして他の人々とは大きく異なっていた。
「昔は大分苦労した。なにせこの見た目だったからな。差別や迫害は日常茶飯事だった。父は居なかったから誰も守ってくれる人は居なかった。」
どこの時代、どこの国でも他と違う者は叩かれる。
ましてや、見た目という誰から見ても明らかな部分が違うことから来る差別は並大抵なものではない。
だから白起はきっと凄く苦労したのだろうと思った。
「それでも、母を生かすために戦にでて必死に戦った。そしたら運良く、魏冄という男に見出されて将軍になれた。だがそこからも苦難の連続だ。他人からの嫉妬や、憎悪を一身に受けることになったし、何より戦場は自分が死ぬか相手が死ぬか選ぶ場所だ。ずっと居ると気が狂いそうになるし、いくら手柄を上げても貯まって行くのは他人を殺したという事実だけだ。」
私はそれを聞いて私が彼を放っておけないのは彼のこういう部分を感じていたからだと思った。
なんだか私と彼はかぶるのだ。
だから彼は私の過去の話を聞いて心を開いてくれたのだろう。
「ところが戦に明け暮れ、気付いたら、俺の母は死んでいた。俺は思ったよ。俺は一体何のために生まれたのだろうとな。」
「なあ。恵子。俺はなんのために生まれたんだ」
彼は唐突に私に問いかけた。
私はその問いかけに少し考えてから答えた。
「それを決めるのは私ではなくあなたです。あなたならきっと見つけられますよ。」
それを聞くと彼は笑顔で言った。
「では、俺が生きる意味を見つけるのを手伝ってくれないか?その代わり俺の全てをお前にやろう」
私はこの問いかけを断るべきとも思った。
彼にこれ以上入れ込むのは色々と危険だからである。
でも彼の笑顔を見ていたら、その顔を守りたくて仕方なくなって断るなんて事は無理だった。
だから私は言った。
「私で良かったら喜んで」
もしかしたらこれは愛の告白だったのかもしれない。
私がそれに気付いたのはもう少し後の事だった。