社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「高校生から片思いって、誰ともお付き合い
されて来なかったんですか?」

なおも花木さんは問い詰める。

「いや、忘れなきゃいけないと思って、
それなりに何人か付き合ってみたよ。
だけど、相手にも分かるんだろうね。
毎回あっという間に振られたよ。」

と修ちゃんは自嘲した。

「それがどうして今頃?」

花木さん、突っ込むなぁ。

「偶然、再会してね。
もう諦めなくても良くなったから。」

「どうして、前は諦めなきゃいけなくて、
今は諦めなくてもいいんですか?」

「簡単に言うと、当時、相手が子供だったから。
高校生の俺には犯罪に思えたんだよね。
でも、再会してみたら、当然、相手も成長して
大人になってた。
年齢差って、大人になると縮まるんだね。」

花木さんは無言だった。

「あ、もしかして、引いた?
そうだよね、こんなの、重いし、引くよね。」

修ちゃんは笑ってるけど、私は笑えなかった。
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