社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
そこに現れたのは、面接でお会いした社長。
ただ、面接の時のスーツ姿とは違い、オフホワイトのニットにブルーデニムという、休日スタイルのラフな格好。


っていうか、のどか!?

なんで、いきなり、名前!?

「あの、あ、こんにちは。」

戸惑う私は、ようやく挨拶だけ絞り出した。

「くっくっ
その顔だと、やっぱり気づいてなかったか。」

え? 気づくって、何に?

「あの…」

「社長の安井修努(やすい しゅうと)だよ。
のどか、久しぶり。」

「え?」

安井修努?
どこかで聞いた事があるような名前…

てか、久しぶり!?
前に会った事あるの?

「ええ!?
名乗っても思い出してくれないの?
すっげー、ショックなんだけど。」

社長は、クスクス笑う。

そんな事、言われても、誰!?
どこで会った?
前の会社の取引先?
学生時代?
アルバイト?

頭の中の記憶を遡って辿っていくが、思い当たる人はいない。
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