社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
俺は、班長決めの前に、健人に言った。

「班長って、毎日、早起きして新1年生を迎えに
行くんだよな。
お前、やる?」

健人は早起きが苦手だ。

毎日、集合時刻ギリギリに駆け込んでくる。

「げ、そうだった。俺、班長はやめるから、
お前、やれよ。」

よっしゃ!!

こうして俺は、ただ1人班長に立候補し、満場一致の信任投票で班長になった。

そして、入学式の翌日から、俺はかわいいのどかを毎日迎えに行った。

のどかの家から、手を繋いで集合場所へ行き、集合場所から学校までも手を繋いで歩いた。

俺は、小さい頃から背が高くて、足も長かった。

当然、歩くのも走るのも早い。

だけど、登校の時は、完全にのどかのペースで歩いた。

すると学校へ着くのが、どの班よりも遅くなった。

3日程して、健人が文句を言い始めた。

「修努、おせぇーよ。もっと早く歩けよ。」
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