社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
え? 貸す? 買いに行く?

どういう事?

状況についていけてないんですけど。

キョトンとする私に、修ちゃんはクスッと笑みをこぼして、

「下でお茶でも飲みながら、説明するよ。
のどか、おいで。」

と階段を降りて行く。

私は、わけがわからないまま、修ちゃんについていった。

玄関から右へ続く廊下を抜けると、右にダイニングキッチン、左にリビングがあった。

「座って。」

と修ちゃんは、ダイニングの椅子を勧めて、自分はキッチンに立った。

「のどか、コーヒーでいい?」

と聞かれ、

「うん。」

と思わず答えていた。

「あ、はい!」

私は慌てて、言い直す。

社長に向かって、秘書が、「うん」なんて、ありえない。
< 14 / 257 >

この作品をシェア

pagetop