社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
修ちゃんは笑って、

「ここでは、敬語じゃなくていいよ。
俺ものどかって呼んでるし。
でも、会社では、『佐倉さん』って呼ぶから、
のどかも『社長』って一応呼んでね。」

と言った。

「はい。」

程なく、コーヒーのいい香りが漂ってきた。

「のどかは、砂糖とミルクはいる?」

「はい。」

私が答えると、お盆にコーヒーを乗せて、修ちゃんが運んで来た。

「どうぞ。」

なぜか私のソーサーには砂糖とミルクが2つずつ。

修ちゃんのソーサーには何も乗っていない。

「あの、これ…」

と砂糖とミルクを差し出すと、

「ああ、俺、ブラックだから。」

と言われた。

じゃあ、これ2つとも私の分?
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