社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

「クズ野郎だな。」

思わず、本音が口から漏れてしまった。

でも、のどかが無事、逃げられて良かった。

その後、採用を伝えると、緊張していたのどかが、嬉しそうに笑って、

「ありがとうございます！
一生懸命、働かせていただきます！」

と頭を下げた。

やっぱりのどかは笑顔が1番いい。

「佐倉さんは、社宅をご希望と伺ってますが、
間違いありませんか？」

俺が確認すると、

「はい。実家からでは、通勤時間がかかり
過ぎますので、そうさせていただけると
ありがたいです。
社長のスケジュールに合わせて動かなくては
いけないと思いますから、早朝、深夜の
勤務にも対応できる所に住みたいと思って
おります。」

と答えた。

うんうん。
俺とずっと一緒に行動できる所に住もうな。

「そう思って働いていただけると助かります。
社宅の住所はこちらです。」

俺は自宅の住所を書いた紙を渡した。

「今週末にでも、引っ越しできそうですか？」

「はい！
土曜日には引っ越して、万全の体制で
月曜日から働かせていただきます！」

くくっ
土曜日かぁ。

「では、土曜日、引っ越しの際に、現地で鍵を
お渡しします。
本日は面接、お疲れ様でした。」

俺は、土曜日を楽しみに、その週の仕事をがんばった。