社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
仕方ない。ヒントをやるか。

「のどか、一体、誰の紹介で面接受けに
来たの?」

「え? あの、ご近所の安井さん…
あっ!!」

お? 気付いた?

「まさか、しゅう…ちゃん?」

「ピンポン!」

のどかが明らかにホッとした顔をする。

「立ち話もなんだから、とりあえず、中、
入ろ?」

俺はのどかに家を案内する。

「のどかの部屋はこっち。
左手前がトイレでその奥がお風呂。
で、右がリビング・ダイニング・キッチン。
ダイニングを抜けた奥が寝室。
一応、家具や家電は、前に使ってた物が
そのまま残ってるから、ちょっと古いけど、
使って。
足りない物は、言ってくれれば、俺が貸すし、
必要な物は、明日一緒に買いに行こう。」

訳が分からないといった表情で立ち尽くすのどか。

ほんと、かわいい。
< 153 / 257 >

この作品をシェア

pagetop