社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「くくっ
アジフライまだかなぁと思って、下から
呼んだんだけど、返事もないし、何かあったの
かなと思って上がってきたら、すやすや気持ち
良さそうに寝てるから、かわいい寝顔を
見てた。」

俺がそう取り繕うと、のどかは、慌てて飛び起きた。

「ごめんなさい!
すぐ、作ります!」

焦ったのどかは、そう言ったが、俺が止めた。

「いいよ。引っ越しで疲れたんだろ。
アジフライは、また今度作って。
今日は、食べに行こう。」

そして俺は、のどかの頭を撫でてやった。

「う、ほんとにごめんなさい。」

申し訳なさそうに、目を伏せるのどか。

そんなに気にしなくてもいいのに。

「ほんとに、もういいから。
のどか、何食べたい?」

「アジフライ以外なら何でも。」

「ぷっ
そうだな。
アジフライは、明日以降にとっておこう。
じゃ、寿司でいい?
出前、取ろう。」

俺がそう言うと、

「うん。」

と素直に頷いてくれた。
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