社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
俺は自分の部屋に戻り、出前を注文する。

しばらくして、寿司が届いたから、支払いを済ませて、寿司桶を受け取ると、のどかが階段を駆け下りてきた。

「修ちゃん、お金! お寿司代!」

財布を握りしめて言うから、笑ってしまった。

「いいよ。なんで、のどかはそんなにお金を
払いたがるの?」

「だって、私がうっかり寝ちゃったせいだし。」

「だったら、明日、アジフライ食べさせて。
それでチャラでいいよ。
ほら、食べよ?」

のどかは、渋々頷いた。

寿司を食べながらも、のどかが落ち込んだ顔をしてるから、

「のどか、そんなに気にするな。
俺は、のどかが笑っててくれる方が嬉しいん
だから。」

と声を掛けたが、あまり効果はない。

だから、無理矢理笑わせてみた。

「ほら、こうやって笑うんだよ。」

俺は、のどかのほっぺを両手で摘み上げた。

のどかのマシュマロみたいなほっぺに引きずられて、口角が上がる。

「くくっ」

かわいい。
変顔で、ぶすくれて睨むのどかが、かわいい。
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