社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「意地なんか張ってないもん。
ほんとに玉ねぎが 」

まだ言うか?

俺はのどかの唇を塞いだ。

のどか…

俺ののどか…

絶対に離さない。



「俺は、のどかを忘れようと思って、18の時に
家を出た。

だけど、のどか以外の誰と付き合ってもうまく
いかなかった。

今回だって、同じだよ。

のどかを諦めて結婚したところで、うまく
いくはずがない。

だから、のどかは諦めて一文無しの俺と結婚
しろ。

金なんか無くても、絶対にのどかだけは幸せに
してみせるから。」

俺は精一杯、のどかに想いを伝えた。

「簡単に諦めないで。
まだ会社は潰れた訳じゃないでしょ?
私は修努の幸せのためなら、幾らでも
がんばれるんだから。」

くくっ
そう来たか。

どっちに転んでも、意地っ張りなのは一緒なんだな。

「くくっ
ありがとう、のどか。
そうだな、じゃあ、この危機を乗り
越えられたら、のどか、結婚してくれる?」
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