社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
修努は、一瞬、固まって、それから私のうなじに手を添えて唇を重ねた。

角度を変えて、何度も重ねるうちに、徐々に深くなり、そのままベッドに折り重なった。

「ん、修努、ここ、実家。」

私が修努の胸を押し返そうとするが、全然動かない。

修努の手が服の上から胸を弄ってくる。

「のどか、愛してる。」

修努はやめるつもりはなさそうだ。

「修努、ほんとにダメ。
これ以上するなら、結婚もやめるよ。」

私がそう言った次の瞬間に修努の動きが止まった。

「修努、今、ダメな事ぐらい、いい大人なん
だから、分かるよね?」

修努は、私を抱き起こして、乱れた髪を手櫛で整えてくれた。

「のどか、ごめん。
のどかが可愛すぎるから。」

シュンとしてみせる修努。

かわいい。

「修努、1週間だから、我慢してね。」

今回は、両家顔合わせもしたいから、1週間、滞在する予定になっている。

まあ、ご近所さんで、今さら顔合わせもないんだけど。

「我慢できるかなぁ。
のどか、可愛すぎるから無理かも。」

修努は、私を抱きしめて言った。

「じゃあ、会わないようにする?」

「っ!!
それはもっと無理!!」

「じゃあ、どうしても我慢できなく
なったら… 」

私は修努の耳元で囁いた。

「そういうとこ、行く?」

修努は、私を抱きしめる腕に力を込めて、

「今から行きたい。」

と囁いた。

「ダメ。
今日は、家族と食事って約束でしょ?
また今度。」

私がそう言うと、修努はまたガッカリした顔をした。

ほんと、修努ってば、かわいい。
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