社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
私は、エレベーターで5階へ上がり、シルバーのプレートに社長室と書かれた部屋のドアをノックする。

「はい。どうぞ。」

低い声がした。

私はドア開け、

「失礼します。佐倉のどかと申します。
本日は貴重なお時間を取っていただき、
ありがとうございます。」

と頭を下げた。

「どうぞ、お掛けください。」

とエグゼクティブデスクの前から立ち上がり、手前の応接セットのソファを指し示したのは、私より少し年上の若い男性だった。

169.5㎝の私が見上げる程、背が高い。

169.5㎝!ここは私がいつも強調するところ。
170㎝はない!というのがポイント。

いや、今はそれはどうでもいい。

この社長、思わず、見惚れる程、カッコいい。

くっきり二重の目に長い睫毛。
鼻筋が通った高い鼻。
少し厚めなのに野暮ったくない唇。
ダークブラウンでツーブロックのすっきりしたヘアスタイル。

社長でこのルックスなら、きっとモテるんだろうなぁ。

そんな事を思いながら、私は3人がけのソファの真ん中に腰掛けた。
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