ひとりごと
しばらくして、僕の目の前にご飯が置かれた。
「お待たせ。どうぞ、召し上がれ」
「ありがとう」
僕がご飯を食べだしたのを確認してから、彼女は洗面所に移動し、着替えを始めた。
着替えが終わった後、ご飯を食べている僕の隣に座って、彼女もご飯を食べ出す。
「最近、帰ってくるのが遅くてごめんね。お腹減ってるのにね」
「ううん、僕は大丈夫だよ。きみこそ、無理しないように気をつけて」
「おもしろい番組、何かやってないかなー」
机の上に置かれたテレビのリモコンを持って、彼女がチャンネルをパチパチ変えていく。
だけど、見たいと思うものがなかったようだ。
プツッと電源を切ってしまった。
「ごちそうさま」
僕は空っぽになったお皿を目の前に置いたまま
、彼女がご飯を食べ終わるのを待つ。
しばらくすると、ご飯を食べ終わった彼女。
手際よく食器を片付け、化粧を落とした後お風呂場へ行ってしまった。
部屋には、また僕ひとり。
テレビの音もない部屋は静かで、でも、彼女が立てる音があるので孤独感はない。
彼女が帰ってきたことで電気がつき、カーテンが閉められた部屋。
ベッドの下の床に寝そべりながら、ぼんやりと部屋を見渡す。
ガラス越しに彼女と目があって、しばらくしてこの関係が始まって。
僕が彼女の部屋に来てから、もうすぐ一年がたつ。
その間、彼女は何回か、ひどく落ち込んで泣いていた事があった。
あいつのせいで。
あんなやつ、やめればいいのに。
僕なら、絶対泣かせたりしないのに。
何度そう思っただろう。
何度そう思っても、何度そう彼女に言っても、伝わる事のない僕の気持ち。
こんなにきみが大切なのに・・・。
その時、部屋の扉が開いて、まだ髪が濡れたままの彼女がお風呂からあがってきた。
「また髪濡れたままで」
僕は小言を言うけど、彼女は聞いちゃいない。
ベッドにゴロンと横になって、携帯をいじりだしたと思ったら、すぐに手から落ちてきた携帯。
僕の頭にゴチンと当たって、床に落ちた。
痛いよ、そう言おうとして、彼女が寝息をたてているのに気付いた。
もう・・・。
ふう、とため息をついて体を起こす。
彼女の足元にある布団を、何とか彼女の肩口まで引き上げた。
彼女の顔の横に座って、顔を見ていたら、彼女が苦しそうに眉間にしわを寄せた後、少しの涙が流れてきた。
あいつの夢をみているんだろうか。
胸がギュッと締め付けられたように、苦しい。
きみが悲しいとき、つらいとき、ただ隣にいるだけで、僕は他に何もしてあげられない。
きみが楽しいとき、嬉しいとき、一緒に喜んだりはできるけど、その気持ちを語り合って、喜びを倍にしたりはできない。
こんなにきみのこと思ってるのに、伝えるすべも、表現する方法も少ししかないんだ。
何で、僕はこの姿なんだろう・・・。
それはきっと、考えても意味のないこと。
だからね、これは僕のひとりごと。
「きみのことが好きなんだ・・・」
その言葉は、ニャアという小さな声にしかならなかった。
「お待たせ。どうぞ、召し上がれ」
「ありがとう」
僕がご飯を食べだしたのを確認してから、彼女は洗面所に移動し、着替えを始めた。
着替えが終わった後、ご飯を食べている僕の隣に座って、彼女もご飯を食べ出す。
「最近、帰ってくるのが遅くてごめんね。お腹減ってるのにね」
「ううん、僕は大丈夫だよ。きみこそ、無理しないように気をつけて」
「おもしろい番組、何かやってないかなー」
机の上に置かれたテレビのリモコンを持って、彼女がチャンネルをパチパチ変えていく。
だけど、見たいと思うものがなかったようだ。
プツッと電源を切ってしまった。
「ごちそうさま」
僕は空っぽになったお皿を目の前に置いたまま
、彼女がご飯を食べ終わるのを待つ。
しばらくすると、ご飯を食べ終わった彼女。
手際よく食器を片付け、化粧を落とした後お風呂場へ行ってしまった。
部屋には、また僕ひとり。
テレビの音もない部屋は静かで、でも、彼女が立てる音があるので孤独感はない。
彼女が帰ってきたことで電気がつき、カーテンが閉められた部屋。
ベッドの下の床に寝そべりながら、ぼんやりと部屋を見渡す。
ガラス越しに彼女と目があって、しばらくしてこの関係が始まって。
僕が彼女の部屋に来てから、もうすぐ一年がたつ。
その間、彼女は何回か、ひどく落ち込んで泣いていた事があった。
あいつのせいで。
あんなやつ、やめればいいのに。
僕なら、絶対泣かせたりしないのに。
何度そう思っただろう。
何度そう思っても、何度そう彼女に言っても、伝わる事のない僕の気持ち。
こんなにきみが大切なのに・・・。
その時、部屋の扉が開いて、まだ髪が濡れたままの彼女がお風呂からあがってきた。
「また髪濡れたままで」
僕は小言を言うけど、彼女は聞いちゃいない。
ベッドにゴロンと横になって、携帯をいじりだしたと思ったら、すぐに手から落ちてきた携帯。
僕の頭にゴチンと当たって、床に落ちた。
痛いよ、そう言おうとして、彼女が寝息をたてているのに気付いた。
もう・・・。
ふう、とため息をついて体を起こす。
彼女の足元にある布団を、何とか彼女の肩口まで引き上げた。
彼女の顔の横に座って、顔を見ていたら、彼女が苦しそうに眉間にしわを寄せた後、少しの涙が流れてきた。
あいつの夢をみているんだろうか。
胸がギュッと締め付けられたように、苦しい。
きみが悲しいとき、つらいとき、ただ隣にいるだけで、僕は他に何もしてあげられない。
きみが楽しいとき、嬉しいとき、一緒に喜んだりはできるけど、その気持ちを語り合って、喜びを倍にしたりはできない。
こんなにきみのこと思ってるのに、伝えるすべも、表現する方法も少ししかないんだ。
何で、僕はこの姿なんだろう・・・。
それはきっと、考えても意味のないこと。
だからね、これは僕のひとりごと。
「きみのことが好きなんだ・・・」
その言葉は、ニャアという小さな声にしかならなかった。