フォーチュン ラブ
「弥花さんは十分可愛い女性ですよ」

年下に慰められた私はこれを喜ぶべき言葉なのか、素直に受け取れない。

「思ってないこと言って大人からかうな」

「そんなこと…あ、そろそろ俺送って行きますね」

渚さんにそう言うと、黒い腰エプロンを外しながら裏へ消えていった。

「え、私タクシーひろうから大丈夫ですよ?」

「ちょうど源次車で来てるからついでに乗ってっちゃいなよ。確か小桜駅の近くじゃなかった?」

「え、よく覚えてますね。いつ話したっけ?渚さんはどうやって帰るんですか?」

ずいぶん前に桃葉と話してる時、昔渚さんも小桜駅の近くに住んでたことがあるって聞いたのを思い出した。

渚さんは今は歩いて15分の所に住んでるらしい。

この店は会社と家の間にあって、ネットで隠れ家的な店を探している時に雰囲気が素敵で桃葉と入ってみた。やっぱり素敵なお店で2年くらい毎週来ている。

大きな街中でもなく、海の匂いがする。

私の大好きな海。
色んな思い出がある。

「じゃあお言葉に甘えて、お願いします」






< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop