決して結ばれることのない、赤い糸
ボールを受け取った先輩はノーマーク。

ドリブルで攻めると、シュートを放った。


…行けっ!!


そう心の中で叫んだけど――。

ボールはクロスバーに当たり、勢いよく跳ね返る。


…残り5秒。


だれもが諦めかけた、…そのとき。


――揺れるゴールネット。

ピッチに響く、割れんばかりの歓声。


一瞬、なにが起こったのか理解できなかった。


…だけど、ボールは相手ゴールの中。

電光掲示板にも、1ー0と表示される。


「今の見たっ!?すごいね、瀧くん!」


隣の席にいた同じフルート担当のコが、興奮気味に話しかけてくる。


――そう。

ラスト5秒で、クロスバーに当たって跳ね返ったボールを、隼人がダイレクトシュートしたのだった!


一瞬の出来事で、相手ディフェンスもゴールキーパーも反応できなかった。
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