決して結ばれることのない、赤い糸
この吹奏楽部員のコは、わたしと隼人が付き合っていることは知らない。
わたしは悟られないように相づちを打ちながら、恥ずかしさで赤くなった顔を首にかけていたタオルで隠す。
実は、隼人は初戦の試合からゴールを決めたら、わたしに向かってあのポーズをしてくれていた。
ピッチと観客席からじゃ会話はできないし、もし大声を出したって、歓声で掻き消されてしまう。
だけど、ゴールを決めた隼人があのポーズをしてくれたら…その瞬間だけ目が合う。
次のポジションに移るまでのわずかな時間――。
たった数秒かもしれないけど、その数秒の間、言葉は交わせなくても、まるで隼人と心が繋がっているように感じる。
『ずっと俺を見ていて』
そういう意味が込められているらしい。
だからあれは、わたしと隼人だけのヒミツの合図なのだ。
わたしは悟られないように相づちを打ちながら、恥ずかしさで赤くなった顔を首にかけていたタオルで隠す。
実は、隼人は初戦の試合からゴールを決めたら、わたしに向かってあのポーズをしてくれていた。
ピッチと観客席からじゃ会話はできないし、もし大声を出したって、歓声で掻き消されてしまう。
だけど、ゴールを決めた隼人があのポーズをしてくれたら…その瞬間だけ目が合う。
次のポジションに移るまでのわずかな時間――。
たった数秒かもしれないけど、その数秒の間、言葉は交わせなくても、まるで隼人と心が繋がっているように感じる。
『ずっと俺を見ていて』
そういう意味が込められているらしい。
だからあれは、わたしと隼人だけのヒミツの合図なのだ。