決して結ばれることのない、赤い糸
「…わたしのため?そんなわけないよ…!だってお母さん、隼人とまた付き合えることになったって言ったら、喜んでくれたじゃん…!」


それが2ヶ月ほど前のことだ。


それなのに、いきなり隼人と別れなさいだなんて…。

…納得できるはずがない。


「かりん…、よく考えてみなさい。かりんはなんのために天川高校に入ったの?英語の勉強をするためでしょ?」

「そうだよ!だから、ちゃんと勉強もして――」

「このままだと、きっとかりんは勉強よりも隼人くんを優先してしまう。お母さんだからわかるの」

「そんなことない…!勉強は勉強、隼人は隼人だよ!」


…おかしい。

こんなの…、わたしのお母さんじゃないっ。


隼人が記憶喪失になったとき、わたしといっしょに涙を流してくれた。

そして、隼人の記憶が戻ったときは、いっしょにうれし涙を流してくれた。
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