決して結ばれることのない、赤い糸
隼人には悟られないように、何食わぬ顔で答えた。


「それよりも、今日も暑いね」

「ああ。9月ももう中旬だっていうのに、真夏日だって」

「…そうなの!?」


わたしは手でパタパタとあおぐと、左手首につけていた髪ゴムを手に取ると、それを唇でくわえた。

そして、長い髪を後ろで1つに束ねると、くわえていた髪ゴムで結んだ。


その様子を、隼人はまじまじと眺めていた。


「ロングヘアって、そんなに暑いの?」

「暑いよ〜…。とくに首元が」

「そうなんだっ。髪、切ろうと思ったことはないの?」

「…う〜ん、ないね。なっちゃんに憧れて、ロングヘアにしたかったから」


わたしは、ポニーテールにした髪をなでる。


「なっちゃんって、たしかかりんのお母さんの妹さんだっけ?」

「うん!サラサラのロングヘアで、とってもかわいいんだよ」
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