別のお話。

別にどっちでもよかった。

だって俺には関係のないことだから。

だけど何故だか無性に気になった。

「あるよ」

うるさい電車内で、シヅキのその言葉はやけにはっきりと耳に届いた。

ー思い出したのか?

「えへへ。多分だよ多分。

なんとなくデートくらいしたことあるんじゃないかなって思っただけ」

大袈裟に手を振りながらシヅキはそう言った。

ー何か思い出したことはないのか?
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