別のお話。

「分かった。じゃあそうする」

もっと軽くて、だけど荷台の付いているのを買ってもらおう。

シヅキを乗せたままでも坂道を登れるようなやつ。

明日からはそれで坂道を登りきろう。

そっとソファーの方を見るとシヅキはにこにこと微笑みながら手を振っている。

呑気なもんだな。

シヅキは俺の小さな決意など気づいてもいないんだろう。

明日になって、バイトが終わったら、シヅキを乗せたまま坂道を登って、いま呑気に手を振っている君を驚かせてやろう。

あと少し軽ければシヅキを乗せたままでも絶対登れる。

だけど君はまた自転車から飛び降りるだろうか。
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