別のお話。

胸をドンと叩きながらやけに自信満々にシヅキが言うから任せようと思った。

昨日の前科があるから不安も少しはあったけど、だからといっていい案も俺には思いつかない。

「行くか」

「うん!」

玄関横にある自転車に鍵をさして荷台にシヅキを乗せる。

一度だけペダルを踏み込むと最初はゆっくりとだけど徐々にスピードを上げて自転車が坂道を下っていく。

「ちゃんと掴まってるか?」

「うん」

今日は休日のせいでいつもより人通りが少ないから、シヅキが掴まってるのを確認してからブレーキをかけずに一気に坂道を下った。
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