別のお話。

「ごめん……」

「春人、私はそんなこと気にしてないの。

ただね、私が死んでから春人がいまを生きなくなったことが悲しかった。

私の存在を消されたのが寂しかった。

だからここへ来たいと願ったの」

「消しただなんて」

「消したでしょ?私のことを消してなかったことにしたじゃん。

姿が見えたのに気づいてくれなかったじゃん。

名前を伝えても気づいてくれなかったじゃん。

それでも春人が笑っててくれるなら良かった。

でもやっと会えた春人は全然笑ってなかった。

そんなのって悲しいよ。寂しいよ。やだよ……」
< 329 / 407 >

この作品をシェア

pagetop