別のお話。
※※※

ーガコン

静かだった場所に無機質な音が大きく響く。

これはシヅキの指示だった。

本当は財布からお金を出す時間も。

自販機のボタンを押す時間も。

落ちてきたコーヒを取り出す時間も。

何もかもが勿体なかった。

そんなことよりもシヅキを見て、その姿を焼き付けておきたかった。

だけどあまりに涙を流した俺に、シヅキが水分を摂らないと干からびちゃうよなんて言うから、俺は丘に設置されている自販機でコーヒを買った。
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