別のお話。

「幽霊なのか人なのかどっちだよ。

協力して欲しいって言ったのはシヅキだろう?」

「春人!」

抱きつこうとするシヅキの体が俺の体をすり抜ける。

「あっ」

その体は音もなくコンクリートの地面に倒れた。

「大丈夫か?」

「……痛くない」

なるほど、幽霊に痛みの感覚はないのか。

「地面はすり抜けないんだな」

ポンポンと膝を叩きながらシヅキがムッとした顔をする。
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