春待ち
「覚くんね、」
僕はトレイから彼女に目を移した。
「私達はもう友達よ、これから一緒に授業頑張りましょうね。ね?」
僕は「この人は初対面の瞬間からなんて馴れ馴れしいんだろう」と思っていた。
が、逆にこんなにも積極的に話し掛けて来てくれる人は僕にはありがたかった。
長崎から一人、大阪に出てきて不安が全くなかったわけではないからだ。いや、むしろ不安だらけだった。
僕は彼女の言葉に、いつしか笑いながら頷くようになっていた。

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