春待ち
そんな僕が3月のある日、恵に気持ちのすべてを伝えたのは自棄になったからではない。久々父が寄越した電話で、彼はこう言った。
「覚、誰もがみんな自分だけの世界を持っている。その世界にいるうちは危険など滅多にないし、平和だ。なんせ自分が最大の権力を持っているんだからな。だけど、その中でだけ生きていくなんて無理だ。人は人との関わりを持って、それで生きていけるんだ。新しい世界を切り開くのは物凄い勇気が必要だろう。いくばくかの犠牲も伴うだろう。だけど、だからこその幸せがそこには見付けられるんだ」
「覚、誰もがみんな自分だけの世界を持っている。その世界にいるうちは危険など滅多にないし、平和だ。なんせ自分が最大の権力を持っているんだからな。だけど、その中でだけ生きていくなんて無理だ。人は人との関わりを持って、それで生きていけるんだ。新しい世界を切り開くのは物凄い勇気が必要だろう。いくばくかの犠牲も伴うだろう。だけど、だからこその幸せがそこには見付けられるんだ」