春待ち
坂を上がり切った。僕の暮らすアパートが見えてきた。その時、いつもと違う景色に気が付いた。僕の部屋の明かりが点いている。下から階を数えてみた。1、2、3…そして右端の301号室。あれは僕の部屋に間違いない。心の中に僅かに沸き起こる感情に、まさかね…と制御をかけようとした。僕はアパートの前に立ち止まり 、明かりの灯る部屋をじっと見上げた。

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